【Mr.MOJOの吉祥寺奇譚】第九話 AOTETSU
【Mr.MOJOの吉祥寺奇譚】第九話 AOTETSU
※この物語はフィクションです

終電を過ぎると閑散としてくる駅前も、週末ともなれば、また違う顔を見せる。久しぶりに向かうその店は南口のバス通り沿い中程にあった。
終日、繁盛しているラーメン屋の看板の灯りが消える頃。その建物の三階で十数年、ひっそりと営むバーがあった。
大人の静かな店、Bar「AOTETSU」。
エレベーターの扉が開くと直ぐの店内。静かに響き渡るジャズとマスターのいびき。
まだ営業時間内。無情にもソファーに横たわる店主を叩き起こし、私は酒をせがんだ。
「え? もう、2時……?」
そう目を瞬かせる店主と目の座りかけた客との攻防戦が今まさに始まろうとしていたのだ。

〈第十話に続く〉
